FLAT SHINJUKU

敷地:
東京都新宿区
用途:
複合(診療所 ⁄ 共同住宅)
設計:
STUDIO AK
施工:
成弘建設
竣工:
2015.12

1,2階にテナントスペース、3階以上が共同住宅のプロジェクトです。敷地周辺は駅に近いこともあり、中高層のビルが立ち並んでいます。前面は大きな幹線道路、背面には私有地ながらも魅力ある公園があります。限られた敷地面積内で収益性を確保しつつも同時に快適性と利便性を建物に持たせることが求められる要求のレベルが高いプロジェクトです。
都市部の密集地によく見られる共同住宅というと共有部(ここでは特に廊下やアプローチを指します。)は専有部の快適性を求めるが故に犠牲となり、暗かったり、通風が悪かったりで、とても快適とは言えないスペースになってしまっていて、個々の専有スペースと共有スペースは完全に分断(快適性としても、空間の質としても。)されてしまいがちです。個々の空間はこの分断により隔てられ、建物として一体となることは出来ません。共有部は建物の中で住民がコミュニケーションを交わす可能性のある数少ない場であり、この快適性は住民のコミュニケーションを促進させる極めて重要な要素の一つと私は考えます。すぐに歩き去って自分の部屋に行きたくなってしまうような場所でコミュニケーションは生まれるはずもないでしょう。ですから、共有部を心地よい空間にし、空間のクオリティーを上げることは、住人同士のコミュニケーションを促進し、そして人と人をつなぐことによって専有スペースと共有スペースの境界をより柔らかくする役割を付与することになるのではないかと考えました。
本プロジェクトの共同住宅の部分の計画を考えた時も、道路側と公園側に分ける形にならざるを得ませんでしたので、どうしても共有スペースが中央部で挟まれる形になってしまい、先述の典型的な共有空間にならざるを得ませんでした。そこで、積極的に条例を利用し、窓先空地をボイドとして建物の中央に挿入することにより、光が差し、風の通り抜ける魅力ある共有空間にすることができました。住民がこの場であいさつを交わし、立ち話をしたり、時にお互いを招いたりしてコミュニケーションを育みます。そしてこの人々のコミュニケーションによってそれぞれの空間が一つになるのです。
人々のコミュニケーションにより水平方向に各スペースはつながり、垂直方向には窓先空地でもあるボイド(光庭)によりつながっています。建物の一体性はこの二つにより成り立っています。
1,2階も同じことが言えます。1,2階は同時経営のためつなげていますが、この空間と共同住宅部は機能上、分断しなければなりません。そこで、窓先空地のボイドが最上階から2階まで貫通し、2階の空間と共同住宅部分を縦に接続しているのです。
このプロジェクトでは、厳しい条例を建物の魅力となるよう積極的に取り入れ、収益性と快適性を叶えるひとつのキーとすることで高い要求に応えることができました。

PROJECT