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HOUSE IGUSA

敷地: 東京都杉並区
用途: 専用住宅
設計: 吉田 明弘 ⁄ STUDIO AK
施工: M's Housing
竣工: 2011.05

敷地周辺はまだ田園風景の残るのどかな住宅地。ご夫婦のための専用住宅です。
敷地の一部を協定道路として使用しているため、建築可能面積はかなり厳しい制限を受け、いかにスペースを有効活用するかということがまず課題として挙げられました。

居住スペースを最大限確保しようとすると、収納スペースが少なくなり、収納を確保しようとすると居住スペースが狭くなるという矛盾から、居住スペースをスキップフロアーとし、各フロアーレベルの間に収納を差し込むという方法で収納スペースの確保を実現しました。
ゲストルームと2階トイレのレベル差や、スタジオとキッチン天井裏の隙間、外部にせり出した軒の上部に収納を設けたりして、隙間や壁の厚みの一見すると見落としがちな空間を積極的に収納として利用しています。

容積率の限度により、居住スペースのボリュームはかなり厳しく制限されてしまったので、2階にルーフバルコニーを計画し、2階の床面積を抑えつつも各部屋との間に「間」を設けることにより、お互いのプライバシーは一定に確保しながらも家族間のコミュニケーションは維持されるようにしました。このバルコニーは各部屋の明り取りとしても機能しています。

階段室の竪穴は、空気の流れるいわば、煙突として計画されています。階段室には開口部を数か所設け、夏季には熱せられた空気がペントハウスまで上昇しながら各開口部から換気されることにより自然な換気システムを生み出しています。空気の流れと光の透過を考え、蹴込板のないオープン階段としています。

限られたスペースを有効的に空間利用をしようと床のレベル差を生み出したことで空間にリズムが生まれ、人と人の間を大切にしながらもお互いを認識できる、居る人を楽しくさせる魅力的で合理的なな住宅を実現することができました。